高配当の電力株の今後はどうなる?将来は上昇?下落?経営者は無能?抱える問題とは?
電力会社の株価は、2011年の震災後に大きく下落しました。
その後は、しばらく配当停止期間が続きましたが、現在は高配当銘柄として復活しています。
震災前のような水準までにはなっていませんが、現在の株価に対する配当率としては悪くないと思う人も少なくないと思います。
多くの人は、配当以外にも、株自体の上昇について気になるところだと思います。
「今後は電気自動車の時代。電力会社の活躍の場は広がるに違いない!」「電力会社は再生可能エネルギーや海外事業、情報通信事業や不動産事業など様々に手掛けているため、収益力向上が期待できるに違いない」など、様々な期待を持って購入する人もいると思います。
そんなみなさんに、私は「早まるのは待ってください!」と言いたい。
今回はそんなことをつづってみます。
電力株の将来は引き続き暗いと思う理由
(1)電力自由化の影響
電力自由化が開始され、電力会社の需要は新電力に相当割合を奪われることになりました。
現在は、ウクライナ情勢による燃料価格高騰で、新電力は窮地を迎えていますが、これも一過性のものであるでしょうから、早晩復活するでしょう。
そうなると、再び新電力の攻勢にさらされ、経営体力が削られます。
では、今はいいのか?といったら、そんなことはありません。
多くの電力会社は、原子力をフル稼働することができていませんので、コストの高い老朽火力発電所を使用しなければなりません。
発電すればするほど赤字です。
おそらく2022年度は、多くの電力会社がかなりの赤字決算となると思います。
どっちに転んでも暗いのが、電力会社です。
(2)電気事業以外のことは全く分からない外部情勢に疎い素人による経営
電力会社には、経営、火力発電、原子力発電、送電、配電、営業、経理、人事、労務、資材、総務、法務、広報、燃料、用地買収、海外事業、再エネ事業、不動産事業、情報通信事業などなど様々な事業があります。
しかし、経営層になるのは、それぞれの部門のことしかわからない、外部のことは全くの無知の、非常に視野が狭い人たちが偉くなります。
本来、経営層というのは、世の中の動きを分かっていて、大局的な視点を持つ人材でなければなりませんが、電力会社の場合は違います。
送電なら送電、配電なら配電と、その分野のこと以外は全く分からない人たちが、経営層にずりあがっていきます。
視野を広げるためMBA留学の制度もありますが、戻ってきて生かされることはまずありません。
生かしたくても、電力会社には生かす場所もありませんから、志の高いMBAホルダーであればあるほど、会社を去っていきます。
(3)優秀な社員のやる気の低下
電力会社は、昔から存在する部門の力が強い傾向にあります。
企画はもちろん、送電、人事、労務、総務、広報などなど、昔からある部門は、ポストも多く、昇進もしやすいです。
一方で、最近の若手は、そのような仕事よりも、再エネ事業、海外事業、不動産事業などの新規事業をやりたがる人が増えています。
しかし、これらの仕事は、電力会社にとっては亜流です。
優秀な社員が希望し、念願かなって収益を生み出す仕事に配属されたとしても、昇進に恵まれないことも多くなり、最後はやる気を失います。
やっている仕事はストレスはたまるが専門知識も得られて面白い、電力会社という看板をもって様々な相手と大きな交渉ができる、外部の優秀な人と仕事をすることで成長を感じられる、と最初の数年はやりがいを感じることもありますが、
かなりの業務量なので土日祝日も家で勉強をしないと業務が回らない、社外で起こっている外部情勢のことを勉強しなければ仕事が回らないが時間がなさすぎる、語学力や専門知識も必要になるのでその対応もかなり大変、そのくせに出世するのはポストが多い昔からある管理部門で自分はいつまで経っても昇進に恵まれない・・・。
先輩を見ても、暗い将来しか描けない・・・。
管理部門などは、仕事内容は極めて単純で誰でもできるようなもの、休みもとりやすいのに、出世面でもかなり優遇。
特に私の会社では人事部門が、自分たちへのお手盛り人事で、どの部門にも先駆けて昇進していくことが横行していました。
一方、「会社を強くしてやる!」とやる気に満ち溢れた人たちの新規事業の職場であるはずが、どんどんモチベーションが下がり、最後は完全にやる気を失う社員ばかりになります。
そして、会社の体制に絶望をし、離職をする人もこれらの部門からは多いです。
他部門の高卒よりも、昇進が遅れるような人もちらほら出ますので、たまったもんじゃありません。
電気事業本体が上述の通り今後も厳しい状況になるのは間違いないのに、出世するのは利益を生まない管理部門ばかりとなれば、本当にやる気を失います。
銀行も、このような状況だと聞きますね。(さすがに高卒よりも出世が遅れることはありませんが)
(4)国による影響を大きく受ける業界
電力会社は、原子力発電と切っても切り離せません。
原子力発電を動かせば収益は一気に改善しますが、動かせなければ東京電力のように、いつまでたっても収益向上が見通せない状況となります。
日本の政治家は、原子力を語れば当選に不利になるので、語ろうとしません。
そして、原子力規制委員会が、対策に何兆円もかかる異常なほどの安全対策を求めたとしても、すべて電力会社に丸投げされます。
何兆円もかけて投資をしても、おそらく大地震が起これば、なんの法令の根拠もなしに、すぐに稼働停止を国(政治家)は求めてくるでしょう。
このように、原子力と国は切っても切り離せません。
原子力をしっかり真正面から語れるまともな政治家が少ないことから、この原子力リスクを今後も電力会社は抱えていくことになります。
当然、立憲民主党のような党が政権を取れば、電力株は著しく暴落することになるでしょう。
(5)行き過ぎた女性優遇
電力会社は男性ばかりの職場でしたが、ここ10年くらいは女性社員もかなり増えてきています。
そして、国の女性管理職目標達成のために、女性はものすごく出世がしやすくなっています。
男性より2年くらい早く出世することもざらです。
優秀な女性ならそれでもいいのですが、仕事より子育てや家事優先、仕事が途中でもほったらかして帰宅する、遠くの転勤は断固拒否し男性社員を代わりに転勤させる、、、こんな女性優遇が横行しています。
正直、ふざけんなといった感じでした。
会社がこれほどまで弱体化しているのに、女性優遇を続ける余裕がどこになるのか。
ますます会社が弱くなっていくのは、目に見えています。
いうまでもありません。
以上の理由から、電力株が以前のような2000円、3000円などの水準に戻ることはないと断言します。
絶対に買わない方がいいと思います。
私は、新入社員の頃から会社の株式を買いましたが、数百万円損をしました。
それがあれば、私の薄くなったカッパ頭の頭頂部をリーブ21でカバーできたのにと思うと、悔やまれてなりません。