電力会社元社員のニコニコブログ

電力会社に20年以上勤務し退職。電力会社の良い面、悪い面をつづっていきたいと思います。主な読者想定は、電力会社株主、就職活動中の学生さんかな。

電力会社で出世・昇進するには?大卒と高卒の違い、実力主義?花形部門はあるのか?

電力会社で出世したいならば、まず大卒以上で入社をしないといけません。

まれに数年に一度、高卒でも本店の部長などになる人もいますが、基本的にはそのようなことはありません。

やはり文系では大卒以上、理系では大学院卒以上が望ましいです。

では、大卒以上などで入社した後は、実力主義なのでしょうか?

 

電力会社の出世は実力主義なの?

答えは、NOです。

例えば、文系であれば、難関資格や語学力などを磨いて出世をしようとしても、ほとんど評価されません。

それよりも、出世しやすい部門に身を置き、社内の飲み会やゴルフ、麻雀などに、すべて断らずに参加することが出世に直結します。

また、学歴も高いにこしたことはありません。

地方電力会社であれば、その地方の旧帝大の学歴が一つの基準とされる傾向が強いです。

それ以上であれば当然出世しやすいですし、それ以下であればしにくい環境にはあります。

ただ、最近では以前ほどではなくなってきています。

理系では、さらに飲み会の重要性は高まります。

理系は文系より上下関係が厳しい体育会的な職場が多いため、飲み会を断れば、出世の道は閉ざされたも同然です。

飲み会の断りは、上司への反逆とみなされます。

といっても、最近の若手は断る勇気ある人が増えてきていますので、今後良い方向に進めばいいですが。

私の知人は、何度か断ったので、本店から非常に遠い田舎に左遷食らいました。

 

電力会社の昇進基準の異常性

多くの企業が、最低限の英語力(例えば、TOEIC730以上を課長の条件にするなど)を昇進の条件にしていますが、電力会社ではこのような基準を聞いたことがありません。

私がいた会社でもありませんでした。

このため、現場たたき上げで、英語はおろか、日本語力さえ問題ありの高卒社員が、出世しやすい営業系部門ですいすいと上がっていたことも見られました。

また、大卒であっても、英語力がある大卒は少ないので、英語を昇進基準の一つにはしていないのでしょう。

だって、人事部長や人事チームの社員なども、英語を喋れる人は皆無なのだから、そういうのが課されれば自分たちの首を絞めることになりますからね。

今一例として英語をあげましたが、これだけエネルギー業界が世界レベルで大きく変わってきている中、英語での情報収集やコミュニケーションがとれないことは、致命的であるといえます。

外の世界が大きく変わってきている中、電力会社の人事チームは、アンテナを高く仕事をしていません。

私がいた会社では、お手盛り人事とでもいうのでしょうか、人事チームに所属している人は、大体同期の出世コースの第一陣におりました。

あと、企画なんかも早いです。

ただ、彼らのすべてが優秀というわけでもなく、中には世渡りだけうまくひどい知能レベルでプライドだけは高い人間もいますが、出世だけは早いため、会社を混乱に陥れることもあります。

電力会社の人事や企画、送電は、外の世界を知らず、本当に視野が狭い人間が多いですが、彼らは役得で早く出世をします。

そういう人がどんどん偉くなり役員になっても、会社がよくなるわけはありません。

ジリ貧です。

ジリ貧で済めばいいですが、会社としての収益の上げ方、成長の仕方について真剣に考えたことがないような経歴なので、会社は沈んでいってしまうでしょう。

同じく、送電や配電など、その分野の知識はあるが、逆にそれ以外は知らないような人が、経営層になったりもします。

私のいた会社では、事業投資なんてしたことがないのに、未経験の技術系役員や、総務系役員などがその責任者になっていました。

当然、とんちんかんな質問ばかりしてくるので、稟議を準備する側は大変です。

また、電力会社特有の、稟議にものすごく時間がかかる特徴がありますが、これに拍車をかけ、意味のないQAを大量に作る羽目になります。

モチベーションも続きません。

挙句の果てに、浅はかな知識に基づいた、最悪な計画変更の指示などもきて、事業はボロボロになります。

 

 

電力会社の株価を見れば経営の力が分かる

私が入社したころ、株価は2000~2500円程度だったと思います。

その後、2011年の震災を経て、今では800円から1000円などです。

3分の1くらいに下がっています。大損です。

私は新入社員の頃から、自社の株を買わされていましたが、本当に大損をしました。

でも、今となれば、電力会社の体質を見ればこの結果は必然だったと確認します。

電力会社の経営層には、特定の出世しやすい部門の中から、外部世界のことを知らない経営能力がない人が上がっていく仕組みになっていますので、株価が上がる要素なんて皆無です。

絶対に株を買わない方がいいです。

経営ビジョンでは、非常にかっこいい姿を描いていますが、絶対にあの通りにはならないと、長年勤めてよくわかりました。

おそらく、10年前に描いたビジョンが、今その通りになっているかといえば、なっていない電力会社がほとんどだと思います。

ビジョンだけは描くが、達成しようなんて思っていないのだと思います。

あと、私がいた会社では、最近ニュースでもよく上がる洋上風力発電などの再生可能エネルギーや水素事業の導入なども、ビジョンに描いています。

ただ、中にいたものとして言わせてもらうと、再生可能エネルギーや水素事業なんて、本気でやろうなんて思ってはいません。

実務経験がある人は、経営層の中にもまずいません。

それなのにビジョンとして描くのは、やはり株価対策のためでしょう。

中にいて感じたことは、これだけ世の中が大きく変わっていていますが、それでも火力発電や原子力発電こそが、電力供給の主役であるべきだとの考えに固執する人ばかりです。

再生可能エネルギーなんて、かるくやればいいだけであって、間違っても本腰を入れてやる気は全くないというのが大半の電力会社です。

ただ、最近は東京電力中部電力関西電力やJERAなどは、ある程度の本気を感じます。

一方で、それ以外の電力会社は、おそらく本気でやる気はないのではないように見えます。

ここでも、電力会社の経営層の、世の中の流れを感じ取る力の欠如を感じます。

これは致命的です。

基本的に役員になるのは、企画や送電、人事など同じ部門出身者が多いため、同じような世間の動きに鈍感で無頓着な会社人生を送ってきた人がまた役員になる以上、もう成長の余地はありません。

座して死を待つのみではないでしょうか。

まじで、人事や企画ごと、取り替えた方が良い気がします。